鈴姫伝説





「俺は“鈴姫”を、ずっと、探していた……。




俺の前から、いなくなってしまったあの日から……」







静かで落ち着いて話す千。







「鈴がいなくなった、なんて信じられなくて、何年も、何年も……」





彼の大きな背中は、何かに怯えているようで、弱々しく感じる。






でも、あたしがいるよ。





そばに、いるよ……。











「でも、探し始めてから500年目くらいになったとき、やっと

『鈴はもう、いないんだ』と思った」





ズキン……と胸が痛む。






千がこちらを振り替えって、あたしを見つめた。









「そして、不老不死の鈴がいない、ということは、俺も鈴のところへ行けないかと思い始めた。


そんなとき、女神と出会ったんだ」





え?





それはたぶん、今のあたしが生まれるより、ずっと前のことだ。





そんな前から……二人は出会ってたんだ……。




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