鈴姫伝説
なんで一人で行ってしまったの?
心に黒い闇が広がっていく。
もしかしたら、と思った。
今行けば、まだ間に合うかもしれない。
彼に会えるかもしれない。
それを察したのか、ロイルがあたしの手首を掴んだ。
「すずか、行くな……」
「なんで!? 千がまた一人で行っちゃったんだよ!?」
「まだ、霊力も体力も戻っていない。
再び行くのは自滅することになる。
危険だ……」
怒鳴ってしまったあたしは、ロイルの顔を見つめた。
「あ……」
いつも無表情のはずの彼は、とても悲しげで……。
ギュッと胸が締め付けられる。