鈴姫伝説
そして再び抱き締められた。
「好きだ」
耳もとで優しく囁かれた。
「え……?」
「ずっと前から、見ていた。
ずっと、好きだった。
すずかが辛そうにしているのは、俺には耐えられない……」
ロイルの優しい声は、ボロボロになった心を温かく包み込んでくれる。
もう泣かないと誓ったのに。
あたしは、泣いてしまった。
「思う存分泣け。
俺しか今、ここにはいない」
ポンポンと大きな手が頭に置かれる。
やだ。
泣きたくないのに……。
優しくしないで……。
前に千が家に来て、あたしが彼を好きと気づいてしまったときも、ロイルがいて……。
そのときも同じようにしてくれた。
「好きなんだ……」
もう一度、ロイルが言った。
ずっと、どんな気持ちであたしを見ていてくれたんだろう。
ロイルの前では泣いてばかりだ。
こんなあたしの、どこが……。