鈴姫伝説
「すごい……」
あの女神に傷をつけた。
彼女はすぐに立ったものの、フラついている。
左肩の辺の服が紅く染まっていく。
その凄まじい光景にあたしは呆気に取られた。
「千……」
あたしは彼の顔を見つめた。
「ッッ……!」
ビキビキと、千のキレイな白い肌の上を黒い“何か”が覆っていく。
「よくも……すずかを……」
どうしちゃったの?
「殺してやる……!」
心臓が凍りつきそうになる。
彼の金の瞳が、紅く紅く、濃い血の色へと染まっていく。
千の瞳は女神だけを見てる。
殺人鬼の目で。
イヤ……ッ!
ダメ……。
彼が“ケダモノ”へと変貌していく。
ダメ……!
このままじゃ、千は魔物になってしまう!