鈴姫伝説





彼は黒い何かに包まれていくなか、女神をその血の色へと変わってしまった紅い瞳で睨み付ける。





その視線はもう、あたしの知っている千の優しいものではない。





怒りに呑まれて、我を失っているの?





昔、銀さんに聞いたことがあった。





あまりに大きすぎる恨み、怒りに身を任せたとき、その身は黒く堕転して、もとには戻れなくなってしまうと。






今の千はまさしく、その魔物へと変貌し始めていた。





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