鈴姫伝説
たぶん、あたしと千のことで更に恨みは増して女神はもう二度と後戻りは出来ない。
それを、あたしは止めてみせる!
「グルルッッ!」
理性が飛んだのか、女神は低く唸るだけ。
でも、スッと黒くなった長い蔦のような腕を空へ掲げたかと思うと……。
「ぐはっ……!!」
「千!!」
彼を叩き潰した。
千は大きく血を吐く。
これじゃ、千が!
「うおお、おおお!!」
それでも彼は、ボロボロの身体をムリヤリ立ち上がらせ、女神へと突っ込んでいく。
やめて!
「ムチャしちゃダメ!!」
ボタボタと紅い血が大理石の床を濡らしていく。
大きな魔物になった女神は、すいっと千をいとも簡単に避けてしまう。