鈴姫伝説
「ッ……」
「千……」
「す……ずか……」
「千……一緒に戦おう」
彼はゆっくりと立ち上がる。
血の色になってしまっていたその瞳は、あの愛しい金色に戻っていた。
あたしはもう彼が倒れないよう、身体に腕を回して支えた。
「鈴姫……もうお前だけでいい。
お前を消せば……千は、千は……!!」
「すずかはもう、離さない」
身体に回された腕にギュッ、と力がこもった。
頭上から降ってくる低くて心地よい声に愛しさが込み上げてくる。
あたしも強く、彼の身体を抱き締めた。