鈴姫伝説

必死に勇気を振り絞って声を出す。

情けないことにそれはわずかに震えてる。


この金の瞳の彼から、凄まじい霊力を感じるから……。


「ミューマ、本当に敵なんだよね!?」


「そうミュ。


こいつが魔物を操っている千(せん)だミュ。



魔物とは比べ物にならないくらい強い……!!」


ミューマの声は今まで聴いたことがないような低い。

魔物と比べ物にならないくらい……強い……?

気が遠くなりそうになった。

魔物だけであんなに苦戦してるのに……。



「あんなにカッコイイ人が、敵?」


あたしの横でゆきなはぽけーっと千に見とれている。

おいおい。

確かにカッコイイけど。

あの金の瞳には吸い込まれてしまいそうだけど……。


千と言われた彼は、あたしたちから数メートル離れた所に静かに立っている。


森の色を背景にすると、やはりあの金の瞳は浮いて見える。

これだけで絵になる……。

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