鈴姫伝説


「…………」


「……っっ!!」


「ゆきなっ!」


突然、千は霊力を……ゆきなに当てた。

バチバチと音がして目が痛くなる。



な、に……?



光が無くなったとき、霊力を当てられたゆきなの身体の力が抜けた。



「やっ……!」



目の前で彼女の身体はフローリングの床に崩れ落ちる。

ゆきなっ!


慌てて手を前に差し出すけど、あたしの腕はむなしく宙を切った。

しかし、彼女の身体は床に落ちることはなかった。


「あっ……!」


代わりに横から別の腕が差し出されて……。


いつの間にかゆきなは千に抱えられていた。

さっき差し出された腕は千のものだったんだ。


「……ゆきなをどうする気……?」


「…………」


ミューマから聞いた話のせいで千が急に怖く感じた。

声が震えてしまう。

彼はなにも言わず……。


「ゆきなを……返してっ……!」


あたしは強く念じた。


(解……!)


──パァッ!!


眩い光があたしの部屋を埋め尽くす。


光が弾けると共に、千に突っ込んだ。


「すずか!!無茶をするなミュ!!」


そんなこと言われても……。

じっとしていられないじゃない!!

いくら敵わない敵でも、ゆきながっ……!


「はぁっ!」


とにかくゆきなを取り返せるよう、千の顔を狙う。

キレイな顔を傷つけるのは、罪悪感があるけど……。



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