鈴姫伝説
右手のパンチを繰り出す。
「……っ!」
容易くかわされてしまう。
くっ……!
やっぱり強いか……。
部屋にある白いソファの近くに降り立つと、千を睨んだ。
どこか、隙は……。
彼は窓際に立ち、ゆきなを抱えたまま平然としている。
緊張と、焦りと不安で息が荒くなってしまう。
「……じゃあな……」
「えっ……?!」
なんの事……?
──ボムン!
「きゃっ!!」
突然彼のいた場所から、白い煙がもくもくと立ち上る。
不意をつかれたあたしたちは千を見失ってしまった。