鈴姫伝説


「ミュー……」



ぬいぐるみが喋った。



「……きゃー!!」



慌てて、それを放り出す。

何?何?!

本当、もうどうしたの?

あたしに投げ出されたぬいぐるみは弧を描いて宙を飛ぶと、フローリングの床に落ちた。

「ふぎゃ……」と、鳴いた気がする。



「ち、ちょっとヒドいミュー!!」



「きゃああ!」



ぬいぐるみは急に立ち上がると怒鳴った。



「や、やっぱり喋った……」



ほっぺをつねると痛い。

現実……。

うさぎのぬいぐるみは、すごく怒っているようだ。



「ぬいぐるみじゃ、ないの!?」



「ボクは、ぬいぐるみじゃないミュ!!」


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