鈴姫伝説
……よし。
キョロキョロと辺りを見渡して誰も居ないことを確認すると、門の中へ一歩踏み出す。
──バチバチバチバチッッッ!!
「っ!」
スパーク音が辺りにこだまする。
踏み出した足がもう一度地面につく瞬間、足と地面の間に電磁波が起こった。
飛び退くと、金の髪が揺れた。
「いるんでしょ!?千!!」
あたしの叫び声だけが響く。
ミューマはあたしの足下で反対側を睨んでいる。
「気配は近くに感じる、ミュ。
ゆきなのも……」
やっぱり、いる。
ゆきなも……。
「よくついてきたな……鈴姫……」
低い声が頭上から降ってきて、上を睨んだ。
「千……ゆきなを返して……」
「それはどうかな……」
「っ!ゆきな!」
千は家の上から軽やかに飛び降りた。
それと同時にどこからかゆきながふわふわと浮いて運ばれてきた。
彼女は、目を閉じて、グッタリとしている。
「ゆきなに何をしたの!?」
「気絶しているだけだ」
静かで冷たい口調。
本当に世界を滅亡させようとしているみたい。
嘘だったら、よかったのに。