鈴姫伝説
コツン、コツンと高い音がすぐ近くで聞こえて……。
ぐい、と服の肩の辺が捕まれ、強く引っ張られた。
「っ、やめて」
必死に抵抗し、彼の身体を押し返す。
なのに手が震えて力が入らない。
ヤバイ……!
その時、金の瞳があたしの瞳を捕らえる。
じっ……とあたしの視線は金の瞳から外れなくなってしまう。
なによ……。
「っっ!!」
ビリッ!と頭に電流が走った。
いた、い。
痛い!
何かが頭の奥底から引き出される感覚……。
ガンガンと脳の中で警鐘がなる。
ふと、頭の中にあるセリフが浮かんだ。
『あたし……、この人を
知って……る……』