鈴姫伝説

するとその様子を見ていた彼は鼻で笑った。



「まぁ、いい。

別に雪女の誘拐が目的じゃなかった……」


「…………?」


どういうこと……?


しかし、そんな疑問はミューマの声で遮られる。


「すずか……帰るんだミュ」


「私を誘拐するのが目的じゃないって言ってるってことは他に目的があるんだよ!?

帰っていいの!?ここで!!」


ゆきなは不満そうに叫んだ。


あたしもそう思う。

不安だよ……。


けれどミューマの思いは変わらなかった。



あたしたちはしぶしぶ、それを承諾する。


「千……」



「!?いない!!」



うそ……。


ゆきなの声で慌てて辺りを見渡すけれど、もうそこに千の姿はなかったんだ。


そこにあるのは、大きな黒い外見のお城だけ……。



夢のように消えてしまった……。



ねぇ、千。



さっきあたしが思ったことはホントなのかな。



ゆきなとミューマは、スゴく警戒してるけど。




あたしにはあなたが敵には思えない。


あなたとどこかで会ったことがある気がするの。



この事を考えると鼓動が速くなっていく。








この気持ちは何ですか……?





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