鈴姫伝説


その記憶より新しく、鮮明に頭に刻まれている記憶……。



それは……。










────……。



『あなただったのね……母を殺したのは』



『…………』



あたしは誰かと二人で向かい合ってる。



誰だか分からない。



女性か男性かも……。



鈴姫は今のあたしと同じように茶色い髪から金の髪へと変幻している。


もしかすると……これは誰かと戦ってる……?



鈴姫の怒りがこちらまで伝わってきて、背筋が震えた。



『伝説の鈴はっ……!?』



鈴姫がこちらを振り返った。


正体の分からない人影もこちらを向く。


な、何!?


あ、今あたし実体ないんだ……。


二人から見えていないことに一人、胸を撫で下ろす。


二人の雰囲気が異様なことは誰でもわかると思う。

意外と怖いんだから!!



──パァ!!



何!?


あたしの下の方から一筋の光が溢れだした。



たたた!と謎の人物がその光へと近づこうとする。



『まてぇっ!!』



──パキィィンッ!!



……鈴姫から青い冷気を放つ氷の刃が飛んだ。



鈴姫……あたしは昔、氷を扱えたの……!?



驚く間もなく、鈴姫が叫ぶ。



『あなたに伝説の鈴は渡さないっっ!!』




鈴姫が黄金の瞳を瞑ると手を顔の前で組んだ。


淡い光が鈴姫を包む。


しかし、それもつかの間。


いつの間にか鈴姫の身体が強く輝き始めた。




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