好きより、もっと。
「よし、じゃあコレで決まりねー」
間延びした私の声に、カズがぐーっと伸びをした。
そしてそのまま机に突っ伏して、私を見上げている。
タクにそっくりな顔で見つめられると、タクを想い出して恋しくなる。
タクとは違う強い目が、この人が私の恋人ではないと主張する。
「なぁ、アミ」
「なに?どうしたの、疲れた顔して」
「お前、制服着ないのか?」
「・・・・・・殴るよ」
「まぁ、その方が身のためだ。大人しくパンツスーツで仕事してろ」
「言われなくても。イベントは指定がない限りパンツで行きますからっ!」
何よ!!!
ちょっと心配したらコレなんだから!!!
ふいっと視線を逸らして、目の前にある資料をまとめる。
目の前で顔を伏せ、ほっと息をついたカズのことなど。
私は気づきもしなかった。