好きより、もっと。
「筒抜けなンすね」
「別に。アイツは何も言わないことの方が多いぞ」
「でも、今日は筒抜けじゃないですか」
「・・・心配、してたからな。時雨が。高田のこと、ほっとけないんだよ」
アミは。
しっかりしているようで実はどこか抜けていて。
それを周囲に見せまいと振る舞っているところが、無理をしているな、と感じさせる部分だったりする。
気付く人はそれに気付く。
それに気付かれまいと、更に自分を追い込んで行く癖があったりするんだ。
バカなンだよな、アイツ。
無理すればイイってもんじゃねぇのに。
ってことは、今日の無理も時雨さんにはバレバレってことか。
『パパぁ』と呼んだ我が子に向かって、片手を上げて笑う櫻井さん。
嬉しそうに声を上げる望君と優しい顔をした時雨さんを見て、零れるように笑った。
自分が整った顔立ちであることはタクを鏡に見ているので存分に分かっているつもりだけれど。
そんな整った俺達よりも断然魅力的な櫻井さんを見て、息を呑んだ。
「高田に電話してやれよ。大成功でした、って」
「そうですね。アイツの現場、俺が貰っちまうぞ、って」
「・・・そんな気ないのに、あんまり高田をいじめるなよ」
「櫻井さんにだけは言われたくないですね」
『違いない』と零して、俺の肩をポンと叩いて追い越していく。
アミは幸せ者だ。
こんなにも、お前を心配している人が沢山いるんだから。