好きより、もっと。
休日 side拓海
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「あぁ、もうっ!いい加減にしてください!!これから弟夫婦来るんですから・・・。何のために平日休み取ったと思ってるんですか?」
「大声出すなよ・・・、なんか今日は頭イテェんだから」
「当たり前じゃないですか。あんなベロベロな状態で家に来たのに、飲み続けたのはあんたじゃないですか?」
「いいじゃねぇか。飲みたい時だってあるんだよ、俺にも」
「『いつも』の間違いじゃないんですか?突然夜中にインターフォンがなったかと思えば、ビールぶら下げて押しかけて。知り合って一か月も経たない部下に遠慮とかないんですか?」
「今更お前に遠慮はねぇよ」
たった三週間で、廣瀬さんは俺の生活にズカズカと入り込んできてしまった。
それはある意味で、俺自身が気を許しているということの証拠でもある。
作業時間の関係で出勤していた土日の振休を取った、東京生活三週間を過ぎた火曜日。
カズから『休み取って未央と旅行に行くから空けとけ』と言われて勝手にスケジュールを組まれてしまったが、心配して様子を見に来てくれることに嬉しくなった。
亜未に逢えないことは残念でならないが、カズから近況を聞けるだけでも十分だと思えるほど、俺は北海道が恋しくなっているようだった。
そんな俺のスケジュールに合わせて休みを取ったこの人は、何かに勘付いていたのかもしれない。
『もしかして彼女でも来んの?』と昨日の夜中にインターフォンがなり、既に酔っている様子にも関わらずビール片手に我が家へとやってきたのだ。