好きより、もっと。
結局。
チーフとして現場を取り仕切る役目の私が、イチスタッフと同じキャンギャル姿をさらす羽目になった。
しかも、まさかのセパレートタイプ。
白のチューブトップにホットパンツ、ニーハイの白ブーツときたもんだ。
あかねの隣に並ぶには、あまりにミスボラシイスタイルであり。
キヨちゃんと並ぶには、あまりにベテランの風格漂う佇まいだった。
二人は着替えた私を見るなり無言になり。
凝視される私はいたたまれないまま、とりあえず仕事を続けていた。
「ちょっと、二人とも。早くしないと確認終わらないでしょ?サイズはいいとしても、枚数とかちゃんと見て――――――――――」
「「ハァァァァァァッ」」
あり得ないくらいのハモり加減で、二人は大きなため息をついた。
オイ、コラ。
そのため息は私の心の声だ、と心から思った。
「アミさん、色んな意味で反則ですよね」
「私、こんなに落ち込むくらいなら止めておけばよかったですぅ」
二人の目線があまりにもイタイ。
恨めしそうなその視線の先には、『いたたまれない』という形容詞を背負った私がいた。
二人が一体何のことを言っているのかさっぱり分からなかったので、思わず手を止めて二人の近くに寄る。
手にはキャンギャル衣装確認用のバインダーを持って、衣装だらけの部屋の中を歩いていた。
「なんだかんだ言って、スタイルめっちゃいいじゃないですか」
「高田さんがキャンギャル衣装着ないのは、あまりにもったいないですぅ」
「カズさんさえいなければ、絶対にアミさん使うのにな」