好きより、もっと。



「俺は弱ってるお前につけこむことを決めて、俺のものにすることを決めた」


「でもッ――――」

「ただ、もしお前が俺よりもカズの兄貴を選んだ時。お前がこうして拒否したことが、お前を守ってくれるはずだ。だから、どんなに泣き喚こうと嫌がろうと、俺はお前を離してやらねぇよ。そんなことくらいで俺から逃げられると思うな」




大崎さんは私の手を引いたまま、ズンズンとマンションの入り口へと進む。

オートロックが開いて吹き抜けになっているエントランスを足早に抜けると、そのままエレベーターに押し込まれてしまった。

十三階のボタンが押されたエレベーターでやっと手を離されたかと思えば。

そのまま私の頭の後ろに手を伸ばして、強引にキスをした。




「――――――ッん――――――」




目を閉じるのも忘れ、強引なその唇に抵抗するように胸を押しのけようとすれば。

逃がさないとばかりに壁に押し付けられ、大崎さんの右手に掴まれた両手首は胸に押し付けられた。

壁と大崎さんの間に挟まれ、私の膝の間を割るように大崎さんの膝が入って来る。


目の前にある想像以上に長い睫が目に入り、伏せられた瞼の形がぼやける程の距離に大崎さんの顔があった。

耐えきれず思い切り目を瞑り顔を逸らそうとすれば、私の顎に大崎さんの左手が伸びて来てそれを許さない。


離れることなく首を傾け、思い切り角度を変えた大崎さんが私の中を侵食しようとする。

女の扱いに慣れているこの人のキスは、私の思考回路を溶かしていくように熱く。



それに抗うために思い切り大崎さんの唇に噛み付いた。


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