好きより、もっと。
「ちょっとっ!!!聞いていんの、タクッ!!!」
「いってぇっ!!!お前、手ぇ出すんじゃねぇよ。聞いてるって。んで、カズがどうしたって?」
「カズってば、私にミニスカート履けって言うんだよ!!!マジ、信じらんない」
「いいじゃんか、履けば。アミ、足キレーだし」
「バッ・・・!!!そういうことじゃ、なくて、さ・・・」
「あー、でも。他の男に見せるのは反対。その足、俺のだし」
「・・・もう、いいよ。なんか、怒りより恥ずかしさが増した・・・」
「そ?自分に正直なだけだぞ、俺は」
「だから・・・、もういいってば」
久しぶりの休み。
私の部屋には、付き合って二年半の彼氏、拓海(タクミ)がいる。
いつも私の愚痴を聞いては、いつも私を甘やかす。
それに、どれだけ救われていることか。
私はイベント会社でイベントスタッフとして、拓海は通信機器メーカーでエンジニアとして働いている。
お互い忙しい中、なんとか合わせた休みでこうして傍にいるのが幸せだな、と感じる。
高田亜末
(タカダ アミ)
28歳。
イベント会社、主任。
部署の中ではチーフと呼ばれるポジションにいる。
忙しい仕事の疲れを癒してくれる優しい人がいて、充実した仕事があって。
これ以上の幸せは、どこにもないと想っている。
私は、幸せ者だ。