好きより、もっと。
「・・・課長。本気で訴えられたいですか?」
「おいおい、冗談だろ?ツレないねぇ」
「課長のセクハラに寛大な部下で、本当に良かったですね」
「本田、お前キツイなぁ」
「課長が軽いだけです」
「本田さぁん、課長が可哀相です~。そんな本当のこと言っちゃ」
「・・・元も子もねぇな、加藤の発言は」
カズも混ざって、いつものどうしようもない会話を繰り広げる三人。
そこに愛想笑いを振り蒔くことしか出来ず、会話の中で私を見つめる二つの視線には見て見ぬふりをした。
私を惑わす声の持ち主と。
私を諭す視線の持ち主。
今の私にとっては、どちらも近寄りたくないものだった。