好きより、もっと。
「タク、出ねぇのか?」
「うん。多分、後で電話くれるよ」
「ちゃんと話せよ」
「わかってる。・・・いつも心配かけてごめん。タクの弟にまで心配かけて」
そう言うと、少し安心したような顔をしてくれた。
私が、少し不安になっているのを和らげるかのように。
「いんじゃねぇの?いつか『義姉さん』になるんだから」
「なっっっっ!?」
「その気、ねぇのかよ?」
「そ、んなのっ・・・、なく、ナイ・・・けど・・・」
「じゃあ、いいじゃねぇか。タクも俺も。先のことを考えねぇほど、馬鹿じゃねぇよ」
カズは私の頭にぽんと手を乗せて、そのまま部屋から出て行った。
残された私は、カズの体温があまりにタクにそっくりで、双子の神秘を目の当たりにしていた。
カズの不器用な真っ直ぐさは、タクにはないものだ。
タクは。
いつも冷静で、あまり感情を出す事がなくて。
でも時折、無言の抵抗で私を苦しめたりもする。
カズと性格がそっくりな私は、カズに言われると色んなことに納得できてしまう。
まぁ、殆どが口喧嘩をした後にしか納得出来ないんだけれど。
結局それにいつも救われているんだな、と思いながら、携帯電話を片手に部屋を後にした。