好きより、もっと。



携帯を取り出して、アミの名前を探しては。

その通話ボタンを押せずに消してしまう毎日。

さらりと伝えるのは簡単だが、その後のアミはどうなる?



強がりで、我が儘で、泣き虫で。

感情のままにいるアミは、俺にそれをぶつけることが出来るのか?



いや、無理だな。

こと、仕事のことに関してはあまりにも聞きわけの言いアミが。

俺の仕事のことに我が儘を言うわけがない。

ましてや、泣き事なんて、絶対に言わない。




それが、一番厄介だ。

一度仕事モードに入られたら、手も足も出ねぇじゃねぇか。

本音を聞き出して一緒に連れて行くことは、ほぼ不可能だ、と。

俺が一番知ってるじゃねぇか。



ため息しか出てこない俺は、どうする事も出来ず窓の外を見ていた。







――――――伝えるなら、早い方がいいに決まってる――――――







こんなにウジウジしてる自分が気持ち悪くなり、俺はもう一度携帯に手を掛けた。

発信ボタンを押して、コールが響く。

その主が電話に出るのを、痛いくらい眩しい空を見ながら待った。




************


< 28 / 201 >

この作品をシェア

pagetop