好きより、もっと。
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「俺、メキシカンピラフとツナベーコンのピザ」
「私、アラビアータと野菜スティック。それと、サラミとチーズの盛り合わせ」
「お前らね、カップルなんだから一緒に頼めよな、ったく」
そんなことを言っているのは、この店の店長だ。
カズさんは、私達が付き合う前、それこそ学生の頃からの付き合いだ。
「いいじゃん、カズさん。ほら、文句言わないで持ってきて」
「俺は一緒にしろ、って言ってるんですけどね」
そう言うタクは、何でもない顔をしてビールをゴクゴク飲んでいる。
私はというと、金魚のように口をぱくぱくさせて真っ赤になっていた。
「あら、アミちゅわ~ん♪照れちゃいましたかぁ~?」
「カズさん、マジウザい。いいから、セリトさんにオーダー通してよ」
「おぉ~、こわ~。セリー!オーダー!」
遠くで『はいよー』という優しい声が聞こえる。
セリトさんは、どうやらキッチンにいるらしい。
なんならカズさんがキッチンに行っちゃえばいいのに、と思いながら目の前のビールを飲み込んだ。