好きより、もっと。
たらふくご飯を食べて、待っている間にビールを三杯も飲み干した私は、平日にも関わらず眠気に襲われていた。
そりゃそうか。
今日の仕事はぐったりしたし、なんて想いながらタクの方を見つめる。
綺麗な鼻筋だなぁ。
睫毛なんて、私が自信無くすくらい長くてカールしてるし。
下手したら私の倍くらいあるんじゃないの?
髭とか。
そこから生えるんだよね?
毛穴とか、どこにあんの?
自分の手元に持っている煙草に火を付けて、普通のタバコよりも大分細いその筒を吸い込んだ。
白い煙を吐き出すたびに、自分が淀んでいくようで少しだけ悲しくなった。
「アミ、そろそろ移動するか?今日、大分疲れてるだろ?」
「あ・・・あぁ、うん。行こうか」
付けたばかりのタバコがもったいなくて、口にくわえたまま空いた手で危なく無いように席を移動する。
タクは呆れたようにこっちを見てるけど、気にしない。
いつものことじゃない、という目線でタクを見て、ニカッと笑って見せた。
そして私は見逃したんだ。
タクが、一瞬だけ悲しそうな顔をしたことを。