好きより、もっと。
動揺 side和美
************
誰だ?
俺の腕の中にいるのは。
こんなに女を全開にしたアミを、俺は初めて見た。
こんなに子供みたいなアミを、俺は初めて見た。
いつだって感情をむき出しにしているが、涙を流すことでこんなにも女らしい顔をするなんて。
俺は知らなかった。
驚いて未央を見ると、ふるふると顔を横に振っていた。
未央も知らなかったみたいだ。
こんなアミが、隠れていたなんてことを。
拓海の前では、いつもこんな顔をしてるのか?
いや。
アミのことだ。
ギリギリまで隠して、爆発する時にならないとこんな顔は見せないんだろう。
今日の昼間。
拓海から電話があった。
アミに説教をしたすぐ後の着信で。
確実にアミの電話に出なかったんだ、ということが分かった。
案の定、オフィスに戻ってきたアミの顔は沈んでいて。
拓海のせいだというのが、手に取るように分かった。
――――――普通なら、面倒くせぇとか想うんだろうな――――――
拓海とアミのためなら、なんだってしてやる、と想うのは。
俺がそれだけ拓海を大事にしてるからなのか。
負い目があるからなのか。
どちらにせよ。
何とかしてやろうという気持ちで、拓海の電話を受け取った。