好きより、もっと。



「未央、悪ぃ。拓海、此処に連れて来て」


「うん、わかった」




心配そうにアミを見て立ち上がろうとする未央。

その未央の手を離すまい、とアミが握りしめている。


未央がハッとして、俺を見つめた。




「アミ、どうした?」




未央を行かせまいとするアミの力に、未央はもう一度しゃがみ込んだ。

アミと目線を合わせるように、そっとアミを見つめていた。




「アミちゃん・・・」


「――――――ないで」


「え?」


「未央ちゃん、タクを呼ばないで」


「でも・・・」


「お願い」




泣いていたのに。

あんなにワンワンと泣いていたのに。



アミの声は凛としている。

コイツ、声だけは何考えてるかわかんねぇンだよな。



真っ直ぐ通るアミの声が、未央をその場に縫い付ける。




「今、誰かに言われて此処に来てくれても、素直にタクが来た事を喜べない。逆に、惨めになると想うの。タクは私のためじゃなくて、誰かに言われたから此処にいるんだな、って」


「そんなことないよ!タクはアミちゃんのこと、考えてるよ!」


「ごめんね、未央ちゃん。みんながそう言ってくれても、私。今は素直に受け取れない」




アミは、そう言って目線を逸らしてしまった。


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