好きより、もっと。
アミのその真っ直ぐな声に、未央はどうする事も出来なくなっていた。
仕事柄、アミの声と話し方には説得力がある。
アミが一言しっかりと言葉を置けば。
その場はそれでおしまい、とばかりに会話が終わっていく。
その声を、きっとタクにも使ってるんだろうな、と想う。
タクが一番楽になるように自分の気持ちを隠すんだろうな、と。
「未央、頼む」
「カズッ!!!!」
俺の服をしっかり掴んで、涙を流したままの目で俺を睨みつける。
お前、なんでそんな必死なんだよ。
たまにはアイツにそんな顔してみろよ。
お前が自分で『苦しい』って言ってやれよ。
アミの肩をがっしりと捕まえて、俺も負けじと睨みつける。
怯むこともなく俺を見つめるアミを、仕事仲間として心底頼もしいと想った。
「お前、タクの言い分も聞かずに逃げて来たんだろ?」
びくりと震える肩を逃がすまいと力を込める。
怯むことはないが、ほんの少し動揺して揺れたその目を、俺は見逃したりしなかった。
「ちゃんと聞いてやれよ、拓海の言い分を」
「でも・・・、タクが黙ったら・・・?」
「そしたら、思い切り泣いてやれ」
それで充分だろ?と言うと、アミは力が抜けたように笑った。