好きより、もっと。
「―――――っ!離してっっ!!!」
大きな声と強い力で、俺は簡単に飛ばされた。
オイ、アミ。
なんだ、この馬鹿力は。
「タクッ!!!どうしたの、その顔っ!?」
その言葉通り。
タクの左頬は、唇の端が赤く腫れて切れていて。
所々、青くアザのようになっていた。
「いや、コレは・・・」
「こんな綺麗な顔に、何傷作ってんのよ!!わかってんの!?大事にしな、っていつも言ってるじゃん!」
「え・・・、あ。ごめん」
「ごめんじゃないわよっ!何やってんのよ!!大丈夫なの!?」
心配してるンだか、怒ってるンだかわからないアミを見て、もう大丈夫だ、と笑った。
ふははっ、と吹き出した俺。
それに気付いて、未央がそっと俺の手を取った。
「カズくん、帰ろ。未希が待ってる」
柔らかい未央の手。
拓海にとって、アミはそういう『かけがえのないもの』なんだろう。
あの拓海の剣幕。
後ろで未央が目を見開いていたのを、俺は見逃さなかった。
未央は『こんな拓海知らない』という表情をしていた。
アミ。
お前は拓海にそういう顔をさせる唯一の存在なんだよ。
気付け、バーカ。