好きより、もっと。
カズとはいつもこうだ。
この会社に入ってから、いや、大学でカズと知り合ってから、ずっと。
私とカズは良く似ていると感じている。
想った事をすぐ口に出し、嫌なことはすぐ顔に出る。
単純で、正直で、嫉妬深くて欲深い。
カズとウマが合うのは、お互いが同じ性格をしているから。
似たような性格は、惹き合わないというのは本当らしい。
カズに出逢ってから、それがとても良くわかった。
「そういえば、昨日タクいたんだろ?じゃあ、聞いたか?」
「ん?あぁ、まだわかんないって。今日会社に行って調整してみるって」
「調整・・・?そんなこと出来るのか?」
「え?出来るんじゃない、一日くらい。イベントの日程伝えといたから、大丈夫だよ」
「お前・・・いや、そうじゃなくて」
なんだろう。
カズがやけに歯切れ悪い。
それに、すごく困った顔をしてる。
なんだか、嫌な空気だよ。
「ねぇ、何の話――――――――」
「おはようございまぁす!」
一際大きな挨拶に、カズと私の会話は止まった。
何か大切なことのような気がしたからカズを見つめていたけれど、簡単に目を逸らされてしまった。
何かを誤魔化すような仕草。
似ているから気付いてしまった。
タクとカズが、私に何か隠していることを。