好きより、もっと。
それぞれの決意
翌日から、いつもと何も変わらない日々が過ぎていった。
心配をかけたカズには、出勤してすぐに経緯を説明した。
多分、タクからも聞いているんだろうけど。
未央ちゃんにもお礼が言いたかったので、カズのお家にお邪魔した。
カズも未央ちゃんもほっとしたような、でも腑に落ちない、なんて顔をしていた。
でも、私達が決めた事を『応援してる』と言ってくれた二人に、心底感謝した。
あの一件依頼、タクはたまに仕事帰りに私の家に来るようになった。
と言っても、お互い仕事が忙しいので中々日程は合わないけれど。
何とかして予定を合わせてくれているタクが、嬉しくもあり、不思議でもあった。
二人で話し合って決めた訳ではないけれど、二人ともどこかでわかっていた。
離れるまでの期間は、少しでも一緒にいたい、と。
そんな気持ちとは裏腹に、私の仕事はどんどん忙しさを増していった。
秋の新商品キャンペーンはもちろん、これからのクリスマス商戦に向けてイベント企画もしておかなくてはいけない。
おかげで寂しいと感じる時間がないのはいいことだけれど。
実感を出来ずにいるのも確かだった。