好きより、もっと。
「藤澤チーフ、高田チーフ、おはようございます!」
「おう、おはよう」
「おはよう、国井くん。元気だねぇ」
「はい!夏に向けて気合い入れないといけないですし!」
国井大希
(クニイ ダイキ)。
22歳、社会人2年目。
身長が高く、色黒。
まだまだヒヨッコの男の子は、最近やっと学生らしさが抜けてきた。
カズにしごかれることが、嬉しくて仕方がないみたい。
ドMだ。
「国井、後で打ち合わせするから加藤にも声掛けとけ。桂木たちは現場から戻ったら合流だ」
「了解しました。加藤来たら、一緒に連れて行きます」
「あかねとキヨちゃんには、コスチューム用意するように伝えてくれる?次回コンパニオンだから」
「わかりました。・・・高田さん、本当に着ないんですか?」
「国井くん・・・、殴っていいかな?」
「うわっ!スイマセンッ!!冗談ッス!!では、っ後程っっ!!!」
憎めないやら、落ち着きないやら。
これだから新人はたまらない。
二年目になる後輩が二人。
四年目になる後輩が二人。
そして、七年目の私とカズ。
イイメンバーに囲まれていると、信じられないくらい忙しいこの仕事も、全く苦じゃないから続けられる。
私の居場所が此処にある。