好きより、もっと。
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「藤澤さん、今日はこれくらいで終わりにしませんか?」
「あ、はい。とりあえずデータお送りします」
「お願いします。初日ですし、もう上がりでいいですよ。で、飯でもどうですか?」
童顔のプロジェクトマネージャーは特に周りを気にすることなく、俺にそんなことを言ってのけた。
一緒にプロジェクトを進めている男性社員の目線も、そわそわして小声で話している女性社員になんて目もくれずに。
俺にさえ目線を向けずにパソコンを見つめたまま、目の前の人は俺を誘った。
「予定もないですし、是非」
「それじゃあ、行きましょう。あと十分で出られるので、待っててもらえますか?」
「分かりました」
女性社員からは『一緒に行きたいです』という甘えた声が聞こえてきたが、廣瀬さんはそれをバッサリと断っていた。
男性社員は『合流したい』と言いつつも仕事が残っているらしく、渋々諦めていた。
俺の何に興味があるのか、と声に出して聞きたい衝動は、何とか押さえ込んだ。
仕事はどこでやっても同じだが、新しい会社は疲れる。
誰かが支えてくれればそんなことは感じないのに、と。
初日からこんなに亜末の事を考える俺は、どれだけ馬鹿なのかを思い知るばかりだった。