好きより、もっと。
「涼二はん、またそないに飲んで。そないなことばかりではあきまへんよ。お連れさんも、辛せやあらへんどすか」
「雪江はん、名前で呼ばんといてください。仕事の付き合いや」
「そないなこと言わはったって、涼二はんとは何年んつっきゃいになると思とるんどすか?うちに言わせれば、いつまやてボンさんや。」
「ボンさんはやめてくれ!あぁ・・・もう、俺が悪かった。堪忍してや」
「あんまり飲んでばっかりやったら、一哉はんに言いつけるさかい。一哉はん、怖いでっしゃろ?」
「にーさんにしゃべるんは堪忍してください。・・・なんで、今日は雪江はんおるんよ。」
なんとも流暢な京都弁で、目の前の上司と女将さんらしき人が話している。
いや、若女将って感じかな。
頭はぼんやりするものの、その聞き慣れない言葉に驚いたのもまた事実で。
そんな俺を見て、バツが悪そうに廣瀬さんは目を逸らした。
女将さんは嬉しそうに俺を見て、そしてにっこり笑っていた。
「すんまへん。えらい恥ずかしとこ、見られてしもたみたいや。調子はどうですか?」
「あ、いえ。少し飲み過ぎました。でも、大丈夫です」
「無理してはあきまへんえ。今、お水を持ってきますから。涼二はんも、大概にしぃよ」
「わかってます。水、よろしゅう」
「ほな、また後で」