好きより、もっと。
「結局、本田と加藤は制服着せるのか?」
「うん。メインブースは出来れば自社スタッフで固めたい」
「じゃあ、入口は国井?」
「いや、国井くんはフットワーク軽いからインカムで呼びつけられるポジションがいい」
「じゃあ、会場誘導だな。桂木を受付にするの、もったいなくないか?」
「まぁね。でも、入口固めるの大事だから」
次から次へと話が進むのは、カズと私の二人だけだから。
思考回路を読みながら話が出来るのは、とても有り難いことだった。
今回のイベントは、大手機器メーカーのカーナビ新作発評会。
ホテルのホールでブースを設置に、新作のご案内をするものだ。
メインブースは、コスチューム姿のスタッフが実演から説明までをこなす。
――――――結構めんどくさい現場だ。
「じゃあ、入口が桂木」
桂木圭祐
(カツラギ ケイスケ)。
25歳、四年目。
言葉数は少なく無口な印象で、表情も乏しい。
ただ、イベント時は別人になる二重人格者。
かなり仕事が出来て、頭の回転もイイ。
頼りになる後輩だ。
「国井くんは会場誘導ね」
「で、本田と加藤はブース、っと」
本田あかね
(ホンダ アカネ)。
25歳、四年目、桂木くんの同期。
かなり華奢な体型で胸がないことに悩んでいるが、どんな制服も着こなしてくれるのでありがたい。
うちのイベントではメインコンパニオンを勤める。
マイクも、キャッチもどんと来い!という、オールマイティーなスタッフだ。
・・・毒気は、かなり強いけど。
加藤貴代
(カトウ キヨ)。
23歳、入社二年目、国井くん同期。
ちょっとぽっちゃりした小柄な体型だけれど、童顔で可愛い子。
オジサマ受けは抜群。
なので、企業様の重役が集まる場所でスーツっぽい制服を着せると・・・
接客で右に出る者はいない。
初々しさがまた新鮮な、うちのマスコットガールだ。
天然でポヤポヤしてるのに、恋愛感度は抜群の『自覚型小悪魔』ちゃん。
個性豊かなうちの部署のメンバーは、完璧ではないが最高のメンバーだ。