好きより、もっと。
――――――コンッ、コンッ――――――
ミーティングルームのドアが叩かれる。
何度かけても、アミは俺の電話に出ない。
ふざけンじゃねーよ!!!
何回かけてると思ってンだ、あのバカ!!!
諦めて電話をポケットにしまいながら、ドアに向かって返事をする。
扉を開けて入ってきたのは、本田だった。
「カズさん、今いいですか?」
「あぁ。どうした?」
「いえ、大崎さんがアミさんを帰したって言ってたんで。アミさん、調子悪かったんですか?」
「まぁな。アイツ、あんま寝てねぇんだわ」
「なるほど」
「気付かなかっただろ?本田たちには、意地でも見せないつもりだったろうからな」
俺を真っ直ぐ見据えて、本田は綺麗な顔を歪ませた。
コイツもこの容姿で苦労をしたことがあるのか?なんて、どうでもいいことを考えていた。
「じゃあ、なんで大崎さんより先に逃がしてあげなかったんです?」
冷たくピシャリと言われた本田の言葉に、俺は無意識に本田を睨んでいた。
俺に睨まれた本田は、一瞬だけ怯えたように肩を上げた。
しかしいつもの冷静さを取り戻すのは早く、いかにも不機嫌そうな表情で俺を見つめていた。
「アミさんが強情なのを、カズさんが一番知ってるんじゃないんですか?無理してるのも気付いてて、それでも必死に仕事に没頭してたのも。すぐにわかったんじゃないんですか?」