あの子が笑えますように
10日間。


マンションの一室を見上げるあの子。




その一室は兄貴のものでありながら俺のものでもあって。


見ない見ないと思っていながら、いつの間にかいつも見てたんだ。






恋とか、好きとか、わかんない。




けど、今はすごく。









「お前の笑った顔がみたいんだ」




だから、泣いて、泣いて。

こぼした雫を、何かに変えちまえ。




ほんの少し、抱きしめる力を強める。

片手でぽんぽんと頭を撫でながら。








「・・・・・・っ、う、うぅっうえぇーーーんっ・・・」



くぐもった泣き声が聞こえた。


ぎゅぅっと、制服のシャツの胸の当たりをつかまれる。





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