あの子が笑えますように
「・・・ごめんね・・・・・・あの、ワイシャツとかぬらしちゃって・・・」


「大丈夫。バーゲン品だから」



しゅんとする女の子に、あっさりと返す。


これは母さんがセールかなんかでゲットした激安品だ。

気にする必要は皆無。






「そ、そうなんだ・・・。でも、その、ホント、ごめんね・・・・・・面倒臭かったでしょ?

もう、こんな時間だし・・・送ってもらっちゃってるし・・・」




てこてこと駅に向かう俺と女の子。


駅まで送ることにしたんだ。



だってなんかもう暗いし。

なんか星みたいなの見えるし。





「いや、気にすんなって。

泣けっつったのは俺で、送るっつったのも俺なんだから」


「で、でもっ!」



「・・・ごめんより他に言うことねーの?」




尚も言い募る女の子をじぃっと見つめる。



一瞬キョトンとした顔をした後、女の子は、ふにゃぁっ笑った。


柔らかくって温かくって、優しげな・・・すっげー可愛い笑顔。





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