「異世界ファンタジーで15+1のお題」二
「じゃあ、帰ろうか!
急がないと暗くなるね!」
瑞月は、山道をまるで転がるような勢いで駆け下りて行く。
「待っておくれ、瑞月!
私はそんなに早く走れない!」
声は彼に届いているはずだ。
しかし、瑞月は私の方を振り返りもせずにひたすらに山道を駆け下り、私はついに彼の姿を見失ってしまった。
帰り道がわからないわけではない。
たとえ、道を間違えた所で、とにかく山さえ降りればなんとかなるはずだ。
私は瑞月を追いかけるのを諦め、ゆっくりと歩いて降りることにした。
しばらく歩いているうちに、ようやく山を降りることが出来た。
それは、歩いてた道が斜面から平面になったことでもわかったのだが、降りきった所で私は思わず声を上げてしまった。
「ここは……」
そこは、喫茶店を出て最初に立ち寄ったあの水晶の丘だったのだ。
水晶の丘は、町を挟んで反対側にあるはずなのに、一体なぜ…?
まるで狐につままれたような気分でその場に立ち尽していると、後ろ側から聞き覚えのある女性の声が聞こえて来た。
「ご旅行ですか?」
(この声はあの…)
振り返ったそこには、私の推測通りの女性が立っていた。
水晶の丘で出会ったあの若く美しい女性だ。
「ええ。そうなんです。
気ままな一人旅です。」
「まぁ、うらやましい。
私は、この町を出たことがないんです。
他の町には、いろいろと面白いものや美しいものがあるんでしょうね。」
「あなたも機会があれば、どこかにでかけてみられると良いですよ。
……と言いたい所ですが、あなたはそんなことは無理だとお考えになっている…」
「まぁ…どうしてそんなことがおわかりになるんですか?!」
女性は真剣な顔で驚いている。
それは、以前同じ会話をしたから…そう言いたかったが、私はそうは言わなかった。
言ってもきっとこの女性にはそんな覚えはないのだろうから。
私は、ここで話した内容を思い出しながら、それを少し変えて話してみた。
「ここには、たくさんの水晶が埋まっているそうですね。」
「え…?ええ…
よくご存知なのですね。」
「ええ、よく知ってますよ。
水晶はたくさん埋まっているのに、それを掘り出した者はほとんどいないとか…」
女性は、私の言葉に目を丸くしていた。
急がないと暗くなるね!」
瑞月は、山道をまるで転がるような勢いで駆け下りて行く。
「待っておくれ、瑞月!
私はそんなに早く走れない!」
声は彼に届いているはずだ。
しかし、瑞月は私の方を振り返りもせずにひたすらに山道を駆け下り、私はついに彼の姿を見失ってしまった。
帰り道がわからないわけではない。
たとえ、道を間違えた所で、とにかく山さえ降りればなんとかなるはずだ。
私は瑞月を追いかけるのを諦め、ゆっくりと歩いて降りることにした。
しばらく歩いているうちに、ようやく山を降りることが出来た。
それは、歩いてた道が斜面から平面になったことでもわかったのだが、降りきった所で私は思わず声を上げてしまった。
「ここは……」
そこは、喫茶店を出て最初に立ち寄ったあの水晶の丘だったのだ。
水晶の丘は、町を挟んで反対側にあるはずなのに、一体なぜ…?
まるで狐につままれたような気分でその場に立ち尽していると、後ろ側から聞き覚えのある女性の声が聞こえて来た。
「ご旅行ですか?」
(この声はあの…)
振り返ったそこには、私の推測通りの女性が立っていた。
水晶の丘で出会ったあの若く美しい女性だ。
「ええ。そうなんです。
気ままな一人旅です。」
「まぁ、うらやましい。
私は、この町を出たことがないんです。
他の町には、いろいろと面白いものや美しいものがあるんでしょうね。」
「あなたも機会があれば、どこかにでかけてみられると良いですよ。
……と言いたい所ですが、あなたはそんなことは無理だとお考えになっている…」
「まぁ…どうしてそんなことがおわかりになるんですか?!」
女性は真剣な顔で驚いている。
それは、以前同じ会話をしたから…そう言いたかったが、私はそうは言わなかった。
言ってもきっとこの女性にはそんな覚えはないのだろうから。
私は、ここで話した内容を思い出しながら、それを少し変えて話してみた。
「ここには、たくさんの水晶が埋まっているそうですね。」
「え…?ええ…
よくご存知なのですね。」
「ええ、よく知ってますよ。
水晶はたくさん埋まっているのに、それを掘り出した者はほとんどいないとか…」
女性は、私の言葉に目を丸くしていた。