go way
「わかってへんよ。」
ボソッと呟く。
「お前らわかってへんよ。」
急に大声をあげる隆平。
「裕が何で夏でも冬服きるんか知ってるんか。身体のあちこちに人に見せられん
ような傷があんねん。心だけやなく。」
胸に手をあてる隆平。
「身体にもな。虐待っていう傷もってねん。そんなあいつがどんな思いで人殴っとると思うねん。殴っとるって思うん。殴りたくて殴っとるんじゃあらへんやろ。」
「もうええって。みんなわかっとるって。」
隆平を落ち着かそうと椅子に座らせる章大。
「隆平。お前が話すことやないやろ。その傷は裕が自分で乗り越えるしかないねん。」
今まで黙っていた亮が口を開く。
「亮。その言葉冷たすぎるで。」
ぶっきら棒に物事言う亮に思わず声をかける忠義。
「冷たくみられてもええ。俺等には見守ることしか出来へんねん。」
「何か。亮。カッコよくねぇ。」
空気を変えようと今度はすばるが助け舟を出す。
「だろう。一回言ってみたかってん。」
笑ってみせる亮