go way
床に置かれたダンボールに横になる忠義。
裕の傷の手当てをする隆平。
「いてぇ~って。もうちょい優しくしてや。」
「女みたいな声あげんなや。」
キーキー声を出す裕に隆平が毒づく。
ペットボトルの水を忠義に差し出す信五。
「ありがと。」
蓋を空け水を飲む。
忠義の横に座る信五。
「何で人は人をいじめるんやろうか?ずっと思っててん。シカトや暴言、暴力目に見えないいじめから目に見えるいじめまでどうしてするんやろうか?それって僕が弱い人間やから。自分より弱い人間いじめることによってあいつらは欲望を満たしてたんやないかって。ストレス発散の道具や。…結局 何も変われてへん。あの時から僕は道具のままや。」
涙をためた目。
うつむく忠義。
「お前は道具やない。忠義は弱くなんかあらへん。」
忠義の頭を撫でる信五。
「せや。あいつらの方がよっぽど弱い人間やん。」
心配そうに忠義を見つめる章大。
「怖かってん。あいつらの顔見てあの声聞いて…怖かってん。目を瞑っても耳を塞いでも聞こえてきよる。あの声が。あの暗闇が僕を包むねん。だから逃げってん。戦わずに逃げってん。」
大声を出す忠義。
「弱いって何なん?逃げないこと?俺にはようわからんわ。忠義の思う弱い人間っ
て何なん?強い人間って何?」
冷たい口調の亮。
「…。」
黙り込む忠義。
「よせや。もう。」
裕が亮を制止する。
「ええんちゃうの。弱かろうが強かろうが今そこにおるのが忠義やん。」
すばるの言葉に顔を上げる忠義。
「せや。忠義は忠義やん。」
笑ってみせる博貴。