go way
コンクリート壁の隙間から漏れる光。
ひんやりと湿った空気。
人通りの少ない裏路地に
忘れらたように存在する廃ビル。
行き場のない僕等が
唯一、羽を伸ばすことの出来る
束の間の休息所。
約束したわけでもなく
自然と集まる僕等の居場所。
壁にもたれかかり煙草を吸っている博貴。
見るからにイライラしている様子が
吸っている煙草から感じられる。
裕 亮 信五 忠義 章大は
博貴の顔色を伺うように距離をとる。
「あいつどないしたん?」
小声で質問する裕。
「知らんわ。」
小声で答える信五。
「機嫌悪いことは確かやで。」
「近づかん方がええって。」
コソコソ話す章大と忠義。
眉間に皺を寄せる博貴。
「こっち見よるで。」
睨みつけられ思わず目をそらす亮。
そんな中、廊下から聞こえる騒がしい声。
くだらない話に花を咲かせ
大笑いしているすばると隆平。
静かな部屋が人一倍凍りつく。
雰囲気のおかしさを察知し黙るすばると隆平。
「何やねん。空気おかしいで。」
「博貴の機嫌がわるいねん。」
すばるの問いかけに小声で答える亮。
「何でなん?」
不思議そうに博貴に視線を向ける隆平。
「知らんわ。誰か話しかけにいけって。」
信五を前へ押す裕。
「やや。裕が行ってこいや。」
「こういうのはお前の仕事やろ。」
「何でなん?」
お互いがお互いを引っ張り出す。
「あっ。もう俺が行くわ。」
揉める裕と信五の間に割ってはいる。
呆れたすばるが博貴へと足を進める。