go way
「お前やって。信五やって隆平やって親なんておらへんやろ。結局、分かれへんねん。博貴の気持ちなんてワガママにしか聞こえへんんねん。」
大声で怒鳴りつけるすばる。
止めに入った裕へも敵意をむき出しにする。
「すばる。よせや。自分で自分おいつめてどないするん?」
亮の切なそうな眼差し。
「親はおらへんかもしれん。でもな大事にしてくれた園長や先生がおったやろ?親代わりやったんちゃうの?」
すばるを諭すかのように投げかける隆平の言葉。
「親ちゃうねん。」
動揺する瞳。
「血が繋がってないと親ちゃうのか?
信五、お前も何か言えや。」
すばるから信五へと視線を向ける裕。
「すばる。お前の言うとおりや。」
ずっと黙っていた信五が口にした言葉に一気に視線が集まる。
「何言うねん。」
驚いた表情を隠せずにいる裕。
「せやからお前の言うとおりや。僕等には親なんておらへんし。親と喧嘩したこと
も比べられたこともあらへん。すばるにはそれがワガママに聞こえてしまったんやな。はっきり言って博貴の気持ちが分れへん。博貴も僕等の気持ちが分かれへんはずや。せやけどな隆平の言うとおり僕等にもおってん。親代わりの園長や先生が…。分からなあかんねん。博貴の気持ち。ワガママですましちゃあかんねん。ちゃんと人の気持ちがわからなあかんねん。すばるなら分かるやろ?」
穏やかだか力強い口調で話しかける。
後ずさりその場から逃げ出すすばる。
「後、頼むわ。」
一言皆にそう言うと慌てすばるを追う信五。