go way
「おとんとおかん離婚してん。お互いにそれぞれ好きな人おって僕のことが邪魔やってん。でかい荷物背負いたくなんないやろ。せやから置き去りにされてん。“すぐ来るでここにおるんよ”って言葉信じてずっと雨の中、傘さして待っててん。せやけどないつまで待ってもきいへんねん。寒くて寒くて手に息を吹きかけながら。何時間も何時間も待っててん。施設に送られたときやっとわかったわ。僕は捨てれたんやって。」
涙をぬぐう。
「大人は勝手やねん。子供をなんやと思ってん。」
拳をに握るすばる。
「何年ぶりに会ってあれやで。親が子供にお金たかるか?」
「博貴。」
博貴を止める章大。
「ええねん。分かっててん。そろそろ来るやろうって。」
「どう言うこと?」
不思議そうに隆平を見る忠義。
「偶然、街で会ってん。知らん男と歩いてたわ。男なしでは生きてけいけんとこ。変わってへんねん。お金で愛情かっとるねん。可哀想な人や。」
隆平の言葉に静まりかえった部屋。
「そんな顔しんといてや。大丈夫やで。あんなやつやけど親やねん。たった一人のおかんやねん。せやから…。」
「ちゃんと向き合わなあかんのやろ?」
信五の言葉にうなずく隆平。
「お前なら出来るわ。」
微笑む亮。
「俺等もついとるんやから。」
隆平の背中をポンと叩く裕。
「ありがとう。」
涙で濡れた顔で笑う隆平。