go way
月夜の下。
片手にお酒。
壁にもたれ煙草を吸っている信五。
「俺も逃げてきた。あいつらうっさいねん。」
信五の隣に座る亮。
「帰ってたんや。飲む?」
お酒を差し出す信五。
「ええわ。今日はあかんねん。」
「そうか。」
深く理由を聞こうとしない信五。
「命日やねん。あいつの。」
月を見上げる。
「今日やったんや。」
「3年たつねん。あいついなくなってから3年。忘れられへんねん。今でも隣におるような気がするわ。笑ってこっちみよるねん。“手をつないで”って。あの時つないでやれば良かったわ。って何言ってるやろうな。」
煙草を消す亮。
「今でもおるやん。お前の中でちゃんと生きとるで。お前が忘れんかったらずっとそばにおるで。」
「ありがとう。」
笑ってみせる亮。
「なぁ。章大どうしてん?いつもならみんなと一緒におるやろ?」
「さぁ。今日はずっとおらんねん。携帯にかけてもでえへん。」
ポケットから携帯を取り出すと
再び通話ボタンを押す信五。
「どないしたんやろう?章大らしくねぇ。」
「犬みたいなやつやからな。明日なればシッポふってくるんやない?」
虚しい機械音声が流れる。
「そうやといいけど。」
「くるわ。あいつなら。」
煙草の火を消すと携帯をしまう信五。