go way




静まりかえった部屋。
誰も話そうとしない。
携帯の鳴る音。

着信 章大。

   
「もしもし章大。」


慌てて携帯に出る信五。
信五に駆けよる裕 すばる 亮 博貴 隆平 忠義。
   
「ごめんな。」

震えた声で話す。
   
「何がごめんやねん。今、何処におんねん?」
「…。」

黙りこむ章大。
   
「章大。聞こえとんやろ?みんな心配しとんねん。何かあったんか。」
「俺…。亮の大切な人、守れへんかった。亮に伝えてや。ごめんなさいって。」

やっと口を開く。
擦れた声。
   

「何言うてん。なぁ。章大。」


優しく問いかける信五。
   

「…。」


その優しさに泣きじゃくることしか出来ない。
言葉にすら出来ない。
   
「落ち着けや章大。戻って来いや。ここに戻って来い。」
「戻れへん。俺…。ごめん…。」

言葉を詰まらせる。
   
「何でや。戻って来いや。みんな待ってるんや。お前のこと章大のこと待ってねん。」

何度も同じ言葉をぶつかる信五。
   

「…行かないかんとこあるねん…。」


聞き取れないほど小さな声で呟く。
   
「お前もしかして。あかんで。絶対あかんで。」

電話越しに慌てだす信五の姿に
動揺を隠せない皆
   

「ごめんな。ほんまありがとう。」


強引に携帯をきる。
   

「章大。章大。章大。」


携帯を握りしめたまま動こうとしない信五。
   






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