明日も晴れ
通路の天井は屋上階まで吹き抜けていて、緩やかな弧を描くアーチ型の天井には張られたガラスが真っ白に輝いている。
天井から零れ落ちてくるように、幾つもぶら下がっている大粒のガラス玉は透明で色鮮やか。天窓から差し込んでくる陽射しを、いっぱいに浴びて眩しいほど。
通路の真ん中にならんだベンチに目を向けた。たぶん、この辺りに座っているはずだと。
「芳田(よしだ)さん」
奥へと進み始めた私を呼び止める声。
振り向くと私服姿の今泉君が、通路にそびえたつ青い柱にもたれ掛かっている。
斜めがけにした大きな通学バッグの中には、制服が詰め込まれているに違いない。
「お昼にしよう」と言いながら、今泉君はフードコートへと歩き出す。
もちろん、私の返事を聞くまでもなく。
普通なら、何が食べたいとか聞くだろうに。今泉君らしいと言えばそれまでなんだけど。
すたすた歩く今泉君の、少し後ろをついて行く。