明日も晴れ
様々な飲食店が並んでいるけれど、彼は何を食べると言い出すのだろう。
予想してみようか。
昨日はラーメンだったから、今日は牛丼?
通路に近いアイスクリーム屋さんの店先では、私たちと同年代と思われるカップルが仲睦まじくショーケースを覗き込んでいる。べったりと腕をくっつくけて、繋いだ手は指を絡ませて。
そういえば、私はまだ手を繋いだこともない。今さら気付いたけど。
今泉君の左手はポケットの中、右手は舵を切る腰の横でぷらぷらしてる。細くて関節が目立たない薄ぺったい手が、歩くたびにゆらゆらと揺れて無防備だ。
左後ろを歩いていた私は、背後から右側へとゆっくりと移動していく。
手を繋ぎたいわけじゃない。
ただ、ちょっとだけ触れてみたいだけ。
触れてみたらどうなるのか、今泉君の反応が知りたいだけ。
少し左手を前に出しながら、歩く速度を速めていく。いきなり隣りに並んだら不自然だから、少しずつ少しずつ距離を詰めていく。