明日も晴れ

そう、これは偶然の事故なんだ。



あともう少し……



今泉君が足を止めた。



全く予想もしなかった動きに、私は慌てて横に飛び退くしかない。我ながら大した反射神経だ。



危うく今泉君の右肩に激突して、腕なんかに掴まってしまうところだった。
素知らぬ顔で、今泉君が振り返る。



「ここでいい?」



と指差したのはたこ焼き屋さん。
私の予想は見事に外れた。



正直言って、たこ焼きは苦手。
だって、私は猫舌だから。



お皿の上で湯気を上げているたこ焼きを、竹串で半分に割った。いかにも熱そうな湯気が上がって、たこ焼きの上に散らされた鰹節をいっそう激しく揺らす。



熱いぞ、気をつけろ。
と、見るからに警告しているようだというのに。



目の前で今泉君へ行きは迷いもなく、竹串で一突きにしたたこ焼きを口の中へと放り込む。



熱くないのだろうか?
ちょっと感覚がおかしいんじゃないだろうか。
そこまで言ったら失礼かな。



たこ焼きを竹串で突き刺して、ふうっと息をかけてみる。
これぐらいじゃあ、冷めそうにないけれど。

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